私は教員になって今日まで、一貫して変わらないテーマで数学の授業と向き合ってきました。それは「すべての生徒が理解できる数学の授業」です。
そのテーマを追い続けて27年、まず新採のころは数学の思考を視覚的、立体的に補助するツールとして、自作教具の研究をしました。じかに触れて、触って考えることをテーマに、主に図形領域での研究をしてきました。しかし、中学校は公務(とりわけ生徒指導)や部活動が忙しく、なかなか自作教具の作成や授業研究のための時間を確保することができず、思うような成果を出すことができませんでした。
次にホームページを利用してこれまで実施してきた自作教具を用いた授業実践や、コンピュータを使った授業実践を掲載し、他校の先生と情報交換をしながら教材の工夫改善をしたり、生徒の数学の学習を補助したりするシステムの研究をしました。その研究を続けながら私が行きついたのが、自作のスライド教材を使った授業実践です。
スライド教材は、その作成を容易にすることができ、アニメーションを使うことによって、黒板では表現できなかった動きを表現することができるので、生徒の理解力の向上に役立つと考えました。また、自作教具よりも効率的で、かつパソコンさえあればどこでもいつでも何度でも作ることができ、しかも実践を繰り返しながら改善できるなど、多くのメリットがあります。この点に着目して、この10年間で数学のすべての授業にICT教材やスライド教材を位置付けて授業ができるように整備しました。そして検証の結果、この方法は、生徒たちの基礎・基本を身につけさせることに効果があることが分かりました。この研究成果については第48回中国四国算数数学研究大会において発表させていただきました。